附属図書館本館所蔵の文化財を紹介するコーナーです。
附属図書館所蔵の文化財
類聚三代格(抜)〔狩野文庫〕
現存する『類聚三代格』の欠損部分を補うことができる資料として、宮城県の指定有形文化財(書跡・典籍)に指定されることとなりました。
『類聚三代格』とは、弘仁・貞観・延喜の「三代」において施行された、律令を修正または補足する法令集「格」を、内容によって分類しなおした(類聚した)書物です。編者は不明ですが、成立年はおおむね11世紀とされています。
『類聚三代格』の原本は失われているため、史料学的な全体像の復原や、写本の系統研究が今も進められています。狩野文庫の『類聚三代格 抜』は、室町期の写本で、抄録ながら、他の写本にはない記述が幾つかあり、また写本の系統も異なるため、『類聚三代格』の復原や校訂に欠かせない資料です。
--参考資料--
- 熊谷公男「類聚三代格-史料学的研究の概要と新たなテキスト作りー」(『国史談話会雑誌』2023, 第64号, p.2-15)
- 関晃監修/熊田亮介校注・解説『狩野文庫本類聚三代格』(吉川弘文館, 1989.11)
- 『ものがたり 東北大学の至宝』(東北大学出版会, 2009.1)