作り物語。2冊。作者は天喜3年(1055)の「六条斎院禖子内親王家物語合」に作品を提出した女房、宣旨が有力視されるが、『河海抄』は紫式部の子の大弐三位弁局の作とする。
主人公の狭衣はしばしば光源氏を想起し、自身の感情を重ねていく。『源氏物語』への向き合い方が窺われる表現であるが、本書は巻一冒頭の「光源氏、身も投げつべし、とのたまひけんも、かくやなど」の一節を欠く。その特徴から版本・流布本の系統とみなされる。