監修者ご挨拶
2024年度企画展「『源氏物語』みやびの継承」オンライン版にアクセスいただき、まことにありがとうございます。本展示は2024年10月28日から11月8日にかけて、附属図書館本館で開催された同展のWeb公開バージョンとなります。折しも、2024年はNHK大河ドラマ『光る君へ』が好評を博し、このドラマを通じて『源氏物語』の作者・紫式部の人生とその時代に関心を持たれるようになった方が多くおられると聞きます。本学としてもこのような機会に、古典に関心を持たれる方々の期待に応えるべく本学が所蔵する『源氏物語』関係の貴重な古典資料の数々をご覧に入れようと本展示を企画いたしました。
本学は国文、歴史にかかわる国宝2点を収蔵するほか、国内有数の古典籍の収蔵数を誇る狩野文庫を擁しており、今回の展示資料の多くがこの狩野文庫の所蔵であることは、狩野文庫コレクションの豊穣さを端的に物語るものでしょう。今回の展示では、『源氏物語』の写本はもとより、『源氏物語』を学問の対象として考証してきた古典注釈の世界にも触れていただこうと、本学が所蔵する古典資料の中からとくに代表的な『源氏物語』の古注釈書の数々を選んでご覧いただきます。なかでも江戸の牢屋奉行・石出常軒が著した『窺原抄(きげんしょう)』は、本学のみが全巻を所蔵する貴重な書物となります。そのほか、『源氏物語註』は三条西公条自筆の資料となりますので、室町時代の公家の営みに思いを馳せていただけることでしょう。
そのほか、本展示では、『源氏物語』の影響を受けて作られた王朝物語の数々も同時に展示しております。本展示をとおして、『源氏物語』の〈みやび〉が長きにわたってさまざまに継承されていく様相を、感じとっていただけましたら幸いです。
最後に、本企画展の開催に際しましてご後援をいただいたNHK仙台放送局、そして開催までご尽力いただいた本学附属図書館の職員の皆様には、この場を借りて心より感謝申し上げます。

監修 横溝 博
(文学研究科教授)


































