和算資料
東北帝国大学理学部教授で初代の図書館長でもあった林鶴一(はやし つるいち 1873~1935)と、数学教室創設時の同僚であった藤原松三郎(ふじわら まつさぶろう 1881~1946)の旧蔵書および両教授の収集した和算関係資料14,470冊に加え、帝国学士院会員の岡本則録(おかもと のりふみ 1847~1931)の旧蔵書2,667冊その他からなる合計18,335冊のコレクションである。
林鶴一は、当時和算研究の第一人者であったが、また関流和算の継承者でもあった。それゆえ、このなかには、関流和算の免許状も含まれている。このコレクションに狩野文庫に含まれる和算関係資料を合わせると全国和算資料の3分の2を占めると言われた。東北大学が、和算研究の一大中心地となった最大の理由である。
コレクションの特徴としては、主要な刊本が網羅されている一方で地方の和算家の原本・稿本類が多く集められていること、和算書以外に天文書、暦算書、測量に関する資料も多く含まれていることが挙げられる。特に貴重なものとしては、毛利重能撰「割算書」(1622年刊)、その弟子今村知商撰『竪亥録』(1639年刊)等がある。また、各種『塵劫記』についても、質量ともに最高水準の収蔵と言えるだろう。
本文庫は長く理学部数学教室で保管されてきたが、昭和43年(1968)に文学部附属日本文化研究施設に移管され、さらに同54年(1979)に附属図書館本館に移された。
サブコレクション
- 林文庫東北帝国大学理学教授・初代図書館長であり、和算研究の第一人者にして関流和算の継承者でもあった林鶴一が個人的に収集した資料です。良質の刊本や関流の写本が充実しています。解説を見る
- 林集書東北帝国大学理学教授・初代図書館長であり、和算研究の第一人者にして関流和算の継承者でもあった林鶴一が、在職中に大学の予算で購入したもの、あるいは各方面から寄贈を受けたものの資料群です。解説を見る
- 藤原文庫東北帝国大学理学部教授で、林鶴一没後はその意思を受け継ぎ和算史研究を続けた藤原松三郎の収集資料です。藤原が個人で買い集めたもので、中国の算書を含み、林文庫・林集書を補完する内容となっています。解説を見る
- 藤原集書東北帝国大学理学部教授藤原松三郎が大学の予算で購入したもの、あるいは寄贈を受けたものの資料群です。中国算書と朝鮮本を含みます。解説を見る
- 岡本文庫関流和算家長谷川弘の門人である岡本則録のコレクションです。岡本が晩年売却した蔵書が林鶴一経由で東北帝国大学に寄贈されました。ほかの和算関係の文庫を補完する稀少な刊本・写本を含みます。解説を見る
- 羽賀集書東北帝国大学理学部数学科卒である羽賀與七郎の旧蔵書です。1987年に附属図書館で購入しました。解説を見る
- 平山文庫元東北大学理学部数学科教授平山諦が収集した資料です。和算書、日本の暦書、貴重和算書の写本、中国の暦算書及び少数の朝鮮暦算書などで構成されています。解説を見る
- 理学部旧蔵書東北帝国大学理学部数学科が科学研究費で購入した和算資料です。解説を見る
- 新宮文庫広島大学新宮教授が収集したもので、新宮教授の親族の希望により当館に移したものです。解説を見る
- 熱海文庫江戸後期~明治初期の和算家熱海又治の旧蔵書です。自著や関流の和算資料を多く含むほか、明治期の教科書や歴書、経書、仙台で出版された資料もあり、当時の教育や出版文化を知ることができます。解説を見る
- 狩野文庫の和算資料狩野文庫に含まれていた和算天文暦書で、当時、我が国の和算研究書の三分の一を占めると言われていました。解説を見る
- 阿部文庫の和算資料東北帝国大学法文学部教授阿部次郎の旧蔵書に含まれる和算資料です。解説を見る
- 漱石文庫の和算資料夏目漱石の旧蔵書に含まれる和算資料です。解説を見る
- 旧本館蔵書の和算資料附属図書館が片平地区にあった時代に所蔵していた和算資料です。解説を見る
- 旧教養部分館蔵書の和算資料包摂校の蔵書を含む旧教養部分館で所蔵していた和算資料です。解説を見る
- 医学分館の和算資料医学分館で所蔵している和算資料です。解説を見る
- 旧仙台工業専門学校蔵書の和算資料包摂校である旧制仙台工業専門学校が所蔵していた和算資料です。解説を見る
- その他各コレクションに含まれない和算資料です。解説を見る
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