秋田家史料
鎌倉時代に陸奥国津軽十三湊を拠点に栄え、後に出羽国秋田に移って戦国大名となり、近世に入って常陸国宍戸5万石、さらに陸奥国三春5万5千石の藩主となった秋田家に伝来した文書類。古文書の大半は近世以降のもので、大名家の私的側面を示す詠草や肖像画、公的側面を示す内書、法規類、覚書などからなっている。古文書に加えて典籍、絵画や器物などを含み、その中には、安倍貞任の子孫という伝承にもとづく独特の自己認識を記した系図や、蝦夷地の領主であった名残と伝えられる弓などが含まれている。
秋田子爵家に伝わる文書類の大半が東北帝国大学法文学部へ寄託されたのは、昭和14年(1939)の夏であった。当時法文学部には、東北地方から北海道、樺太、千島列島までの北方史を総合的に研究する奥羽史料調査部があり、総合的調査研究のために収集された史料の白眉が秋田家史料である。その後、寄託品のうち刀剣類は秋田県立博物館開館に伴い返還され、文書類は東北大学に購入されて国有財産となった。昭和30年(1955)以降附属図書館への移管が行われ、平成13年(2001)に『秋田家史料目録』が作成された。